家康はかつて秀忠に言った。「わしは天下を治めるのに三河の旧法を用いた。税の取り立ては軽くした。これは民が服する根本だ。後世子孫もよくこの法を遵守せよ。しかし、後世太平がひさしくつづき、上は奢り、下は諂い、給与がうまくいかなくなると、郡司はかならず郡吏を責めて百姓から税を多く取り立てるようになろう。こうなると、郡吏はみだりに徴税の額を増やして、むやみやたらにとるようになり、百姓は困窮し、必ず上を恨むようになる。執政者がこのような人間を役人に任用し、俸禄を増やせば国家はしだいに衰えていくことになる。百年の後に至って禍乱が起こるのは、かならず百姓が上から心を離すのが原因である。物に優れている主君は別として、いったい中級以下の主君となると、重臣の補翼のしぶりが大切だ。水はよく舟を浮かべもするが、水はまた舟をよく覆す。慎まなければならない。」
徳川家康 「名将言行録より」
上が奢るだけでなく、下が諂うことも問題だ。
国は悪によって滅ぶのではなく、愚によって滅ぶ。
一国一城の運命は「人」で決まる。
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